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2025/12/22 ブログ

インプラントが向いている人・向かない人|全身疾患と骨量から見る適応判断

インプラント治療を検討する前に知っておくべきこと

歯を失ってしまった方にとって、インプラント治療は魅力的な選択肢です。

天然歯と同じように噛める機能を取り戻せるだけでなく、見た目も自然で美しい仕上がりが期待できます。しかし、すべての方がインプラント治療を受けられるわけではありません。全身の健康状態や骨の量、生活習慣など、さまざまな要素が治療の可否に影響を与えるのです。

この記事では、インプラント専門医としての経験を活かし、インプラント治療が向いている方と向かない方の判断基準を詳しく解説します。治療を検討されている方が、ご自身の状態を正しく理解し、最適な選択をするための指針となれば幸いです。

インプラント治療の基本的な仕組みと適応条件

インプラント治療とは、失った歯の部分に人工歯根を埋め込む治療法です。

チタン製の人工歯根を顎の骨に埋入し、骨と結合させることで安定した土台を作ります。その上に人工の歯を装着することで、自分の歯と変わらない機能と見た目を実現できるのです。

治療の成功には、顎の骨とインプラントがしっかりと結合する「オッセオインテグレーション」が重要になります。この結合プロセスには通常4〜6ヶ月程度の期間が必要で、その間に骨とインプラントが一体化していきます。

インプラント治療を受けるための基本的な条件として、十分な骨の量と質が求められます。上顎の場合、インプラントを安定させるには一般的に8mm以上の骨の高さが必要とされています。骨の高さが不足している場合でも、骨造成術などの追加治療によって対応できるケースもあります。

また、全身の健康状態も重要な判断材料です。外科手術を伴う治療であるため、手術に耐えられる体力と、術後の治癒能力が必要になります。

インプラント治療が向いている方の特徴

インプラント治療に適している方には、いくつかの共通した特徴があります。

まず、全身の健康状態が良好で、慢性疾患がコントロールされている方です。高血圧や糖尿病などの疾患があっても、適切な治療によって症状が安定していれば、インプラント治療を受けられる可能性があります。主治医との連携のもと、慎重に治療計画を立てることが大切です。

次に、十分な骨量がある方、または骨造成術によって骨量を確保できる方が該当します。近年では、骨が不足している場合でも「サイナスリフト」や「GBR」といった骨造成技術によって、インプラント治療が可能になるケースが増えています。

さらに、口腔衛生管理がしっかりできる方も重要な条件です。インプラント治療後は、天然歯以上に丁寧なケアが求められます。毎日の歯磨きを適切に行い、定期的なメンテナンスに通える方が、長期的な成功を得やすいのです。

全身疾患とインプラント治療の関係性

全身の健康状態は、インプラント治療の成否に大きく影響します。

特に注意が必要な疾患について、詳しく見ていきましょう。

糖尿病とインプラント治療

糖尿病は、インプラント治療において特に慎重な判断が必要な疾患です。

血糖値のコントロールが不十分な場合、傷の治りが遅くなり、感染リスクが高まります。また、骨とインプラントの結合にも悪影響を及ぼす可能性があるのです。しかし、HbA1c値が7.0%以下で安定している場合は、インプラント治療を検討できることがあります。

糖尿病をお持ちの方がインプラント治療を受ける際は、内科主治医との密接な連携が不可欠です。血糖値の管理状態を確認し、必要に応じて治療計画を調整します。術前の血糖コントロールを徹底することで、治療の成功率を高めることができます。

心疾患を抱える方への対応

心筋梗塞や狭心症などの心疾患がある方は、特別な配慮が必要です。

心筋梗塞を発症してから6ヶ月以内の方は、インプラント手術による刺激が発作を誘発するリスクがあるため、治療を控えることが推奨されています。発症から半年以上経過し、症状が安定している場合は、循環器科の主治医と相談の上で治療を検討できます。

手術中の心臓への負担を軽減するため、静脈内鎮静法を用いることもあります。これにより、患者様がリラックスした状態で手術を受けられ、ストレスによる心臓への影響を最小限に抑えることができるのです。

骨粗鬆症とビスフォスフォネート製剤

骨粗鬆症の治療で使用されるビスフォスフォネート製剤は、インプラント治療において注意が必要です。

この薬剤は骨の代謝を抑制するため、長期服用している方では顎骨壊死のリスクが高まる可能性があります。ただし、すべての方が治療を受けられないわけではありません。服用期間や投与方法、骨の状態などを総合的に評価し、リスクとベネフィットを慎重に判断します。

経口薬を3年未満服用している場合は、比較的リスクが低いとされています。一方、静脈注射で投与されている場合や、長期間服用している場合は、より慎重な対応が求められます。

骨量不足への対応と骨造成術

骨の量が不足している場合でも、諦める必要はありません。

現代の歯科医療では、さまざまな骨造成技術が確立されています。

上顎洞底挙上術(サイナスリフト・ソケットリフト)

上顎の奥歯の部分は、上顎洞という空洞が存在するため、骨の高さが不足しやすい部位です。

骨の高さが5mm以下の場合や、広範囲の骨造成が必要な場合は「サイナスリフト」を選択します。この方法では、上顎洞の底部を持ち上げ、そこに骨補填材を入れることで骨の高さを確保します。骨の高さが極端に少ない場合でも、10mmのインプラントを埋入できるようになることがあります。

一方、残存骨が4mm以上ある場合は「ソケットリフト」という低侵襲な方法を選択できます。インプラントを埋入する穴から上顎洞底を押し上げる方法で、サイナスリフトよりも患者様の負担が少ないのが特徴です。

最近の研究では、残存骨の高さが4mm以上あれば、ソケットリフトで93〜100%の高い生存率が報告されています。ただし、残存骨が4mm以下の場合は、より慎重な判断が必要になります。

GBR(骨誘導再生法)

骨の幅や高さが不足している部位には、GBRという技術を用います。

特殊な膜(メンブレン)を使用して、骨の再生を促進する方法です。インプラントが骨から露出してしまう部分を膜で覆うことで、骨の再生スペースを確保します。骨補填材と併用することで、より確実な骨の再生が期待できます。

GBRは、インプラント埋入と同時に行うこともあれば、先に骨造成だけを行い、骨が十分に再生してからインプラントを埋入することもあります。患者様の骨の状態に応じて、最適な方法を選択します。

インプラント治療が向かない方・禁忌となるケース

残念ながら、すべての方がインプラント治療を受けられるわけではありません。

絶対的禁忌となる全身疾患

重度の心疾患や脳血管疾患がコントロールされていない方は、手術のリスクが高すぎるため治療を受けられません。

免疫不全や血液疾患を抱えている方も、感染リスクや出血のリスクが高いため、インプラント治療は適していません。また、放射線治療を受けている方や、化学療法中の方も、骨の治癒能力が低下しているため、治療を控える必要があります。

膠原病や関節リウマチなどの自己免疫疾患がある方は、症状のコントロール状態によって判断が分かれます。ステロイド薬や免疫抑制剤を服用している場合、感染リスクが高まり、骨とインプラントの結合にも影響を及ぼす可能性があるのです。

生活習慣による制限

喫煙習慣は、インプラント治療の大きな障害となります。

タバコに含まれるニコチンは血管を収縮させ、血流を減少させます。これにより、傷の治りが遅れ、感染リスクが高まるのです。さらに、骨とインプラントの結合を阻害し、インプラント周囲炎のリスクも高めます。

多くの研究で、喫煙者のインプラント失敗率は非喫煙者の2倍以上になることが報告されています。そのため、インプラント治療を検討されている方には、治療前の禁煙を強く推奨しています。

アルコールの過剰摂取も、治療の成功に悪影響を及ぼします。アルコールは唾液の分泌を減少させ、口腔内の自浄作用を低下させます。また、免疫機能を低下させるため、感染リスクが高まるのです。

口腔衛生管理ができない方

インプラント治療後は、天然歯以上に丁寧なケアが必要です。

毎日の歯磨きが十分にできない方や、定期的なメンテナンスに通えない方は、インプラント周囲炎のリスクが高まります。インプラント周囲炎は、放置すると骨が溶けてインプラントが脱落する原因となる深刻な合併症です。

重度の歯周病がある方も、まずは歯周病の治療を優先する必要があります。歯周病菌がインプラント周囲に感染すると、治療の成功率が大きく低下するためです。

治療成功のための重要なポイント

インプラント治療を成功させるには、いくつかの重要な要素があります。

まず、精密な診断が不可欠です。当院では、CT撮影や口腔内スキャンなどの最新機器を使用し、骨の状態を三次元的に把握します。これにより、最適なインプラントの位置や角度を事前にシミュレーションできるのです。

次に、患者様との十分なコミュニケーションが重要です。治療のメリットだけでなく、リスクや注意点についても丁寧に説明し、納得していただいた上で治療を進めます。不安な点や疑問点があれば、遠慮なくご相談ください。

治療後のメンテナンスも、長期的な成功には欠かせません。定期的な検診で、インプラント周囲の状態をチェックし、問題があれば早期に対処します。患者様ご自身の日々のケアと、歯科医院でのプロフェッショナルケアの両方が、インプラントを長持ちさせる鍵となります。

まとめ|あなたに最適な治療選択を

インプラント治療は、失った歯の機能を回復させる優れた方法です。

しかし、すべての方に適しているわけではなく、全身の健康状態や骨の量、生活習慣など、さまざまな要素を総合的に判断する必要があります。全身疾患がある方でも、適切な管理のもとで治療を受けられる可能性がありますし、骨量が不足している方でも、骨造成術によって対応できるケースが増えています。

大切なのは、ご自身の状態を正しく理解し、専門医と十分に相談することです。当院では、患者様一人ひとりの状況に合わせて、最適な治療計画をご提案しています。

インプラント治療に関するご相談は、ぜひお気軽にお問い合わせください。赤坂駅から徒歩30秒という好立地で、忙しい方にも通いやすい環境を整えています。ドイツインプラント学会認定の専門医として、世界レベルの治療をご提供いたします。

詳しい治療内容やご予約については、赤坂ひろデンタルの公式サイトをご覧ください。皆様の健康な笑顔を取り戻すお手伝いができることを、心よりお待ちしております。

 

記事監修医師
西原 宗信 院長

西原 宗信 院長

赤坂ひろデンタル

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