歯と認知症の関係とは?口腔ケアが脳の健康を守る鍵に
「最近、物忘れが増えてきた…」
「年齢とともに脳の健康が気になる」
そう感じている方も多いのではないでしょうか。実は今、「歯と認知症の関係」に注目が集まっています。歯の健康が脳の健康と密接に関わっており、日頃の口腔ケアが認知症予防に役立つ可能性があることが、最新の研究でも明らかになってきました。
本記事では、歯周病と認知症の関係性や、口腔環境が脳に与える影響、そして日常でできる予防方法について詳しく解説します。
歯周病と認知症の関係
歯周病は、歯を支える歯茎や骨が炎症によって破壊される病気です。進行すると歯が抜けてしまうだけでなく、全身の健康に悪影響を及ぼすことがわかっています。
近年の研究では、歯周病が認知症のリスク因子の一つである可能性が指摘されています。歯周病菌(たとえばポルフィロモナス・ジンジバリスなど)が血液を介して脳に達し、脳内に炎症を引き起こすことで、アルツハイマー型認知症などの進行に関与している可能性があるのです。
また、歯が失われることで咀嚼(噛むこと)の機能が低下し、脳への刺激が減少します。この咀嚼刺激の減少も、認知機能の低下につながると考えられています。
口腔内の炎症が脳に与える影響
歯周病などの口腔内炎症は、慢性的な全身性炎症(慢性炎症)を引き起こします。これは「サイレント・インフラメーション(静かな炎症)」とも呼ばれ、自覚症状が乏しいのが特徴です。
この慢性炎症状態が長く続くと、血管性認知症やアルツハイマー病のリスクが高まることが知られています。つまり、口の中の小さな炎症が、将来的に大きな健康リスクとなり得るのです。
Yoo, J., Huh, Y., Park, S., Han, K., Park, H., Cho, K., Ahn, J., Jun, S., & Nam, G. (2023). Association Between Dental Diseases and Oral Hygiene Care and the Risk of Dementia: A Retrospective Cohort Study.. Journal of the American Medical Directors Association. https://doi.org/10.1016/j.jamda.2023.08.011.
認知症予防における歯科の役割
歯科医院では、むし歯や歯周病の治療だけでなく、定期的なメンテナンスによって口腔内の健康を保つサポートが受けられます。
特に高齢になるほど、セルフケアだけでは十分な清掃が難しくなり、プロのクリーニング(PMTC)や歯科衛生士による指導が重要になります。定期的な受診によって、歯を守るだけでなく、将来的な認知症の予防にもつながる可能性があるのです。
毎日の口腔ケアが未来の健康を守る
自宅でできる認知症予防のための口腔ケアとしては、以下のような習慣が挙げられます。
・朝晩の丁寧な歯磨き(フロスや歯間ブラシも併用)
・よく噛んで食べる(咀嚼力を意識)
・うがいや舌みがきで細菌を減らす
・定期的に歯科検診を受ける(目安は3~6か月に1回)
特に「よく噛む」ことは、脳を活性化させる刺激にもなり、認知機能の維持に効果的だとされています。
歯の健康は“脳の健康”への第一歩
「歯の健康は体の健康の入り口」とよく言われますが、それは脳の健康にも同じことが言えます。歯周病を予防し、しっかり噛める口を保つことが、認知症予防の第一歩になるのです。
年齢を重ねても元気に、クリアな思考で毎日を過ごすためには、今からの口腔ケアがとても重要です。ぜひ、日常の歯磨きと定期的な歯科医院の受診を習慣にしていきましょう。
赤坂で歯医者をお探しの方へ|「噛む力」を守ることが認知症予防につながります
認知症は日本において大きな社会問題となっています。
近年の研究では、「歯の本数」と「咀嚼力」が脳の健康と密接に関わっていることが明らかになっています。
赤坂駅・溜池山王駅・赤坂見附駅から徒歩圏内にある【赤坂ひろデンタル】では、歯の健康管理を通じて、認知症予防にもつながるサポートを行っています。
なぜ歯の本数・咀嚼力が認知症に影響するのか?【赤坂 ひろデンタル監修】
噛むことが脳を刺激する
咀嚼するたびに脳が刺激され、血流が促進されることがわかっています。
しっかり噛むことで、脳に十分な酸素と栄養素が運ばれ、認知機能の維持に貢献します。
しかし、歯を失い、噛む力が低下すると、この刺激が減少。
これが認知症リスクの増加につながる恐れがあります。
Thomson, W., & Barak, Y. (2020). Tooth Loss and Dementia: A Critical Examination. Journal of Dental Research, 100, 226 – 231. https://doi.org/10.1177/0022034520957233.
Iwai, K., Azuma, T., Yonenaga, T., Sasai, Y., Nomura, T., Sugiura, I., Inagawa, Y., Matsumoto, Y., Nakashima, S., Abe, Y., & Tomofuji, T. (2024). Longitudinal association of oral functions and dementia in Japanese older adults. Scientific Reports, 14. https://doi.org/10.1038/s41598-024-56628-8.
まとめ|口腔ケアが認知症予防のカギに
・歯周病は認知症のリスク因子になる可能性がある
・口腔内の炎症が脳に影響を与えるメカニズムがある
・噛む力を保つことで脳が刺激され、認知機能の維持に役立つ
・毎日のケアと歯科医院でのメンテナンスが大切
歯と脳は、見えないところで密接につながっています。歯を大切にすることが、脳を大切にすることにつながる。そんな考え方が、これからのスタンダードになるかもしれません。