2025/04/23

歯が欠けたらどうする?応急処置と歯科での治療方法を解説

突然の歯の破損!そんなときどうすればいい?


食事中に硬いものを噛んだとき、スポーツ中の不意の衝撃、あるいは転倒など—突然歯が欠けてしまうことは誰にでも起こりうる事態です。そんなとき、あなたはどうしますか?痛みや見た目の変化に慌ててしまいがちですが、適切な対応を知っておくことで、症状の悪化を防ぎ、最終的な治療結果を良好なものにできます。

このコラムでは、歯が欠けたときの応急処置から歯科医院での治療方法まで、具体的に解説していきます。もしものときのために、今のうちに知識を身につけておきましょう。

歯が欠けたときの応急処置


すぐにすべきこと

歯が欠けた瞬間、まず落ち着いて対応することが重要です。パニックになると適切な判断ができなくなります。以下の手順で応急処置を行いましょう。

まず、口をぬるま湯でやさしくすすぎます。これにより、口内の細菌が傷ついた部分に入り込むのを防ぎます。冷たすぎる水や熱すぎるお湯は、神経に刺激を与えて痛みを増強させる可能性があるため避けましょう。

次に欠けた破片を探します。もし見つかった場合は、きれいな水で軽く洗い、濡れたガーゼやティッシュに包んで保存します。牛乳や生理食塩水に浸すのも効果的です。破片が大きい場合、歯科医師が元の歯に接着できる可能性があるためです。

痛みがある場合は、市販の鎮痛剤を服用してもよいでしょう。ただし、痛み止めを歯の表面に直接塗るのは避けてください。粘膜を刺激し、かえって症状を悪化させることがあります。

一時的な保護方法

歯科医院に行くまでの間、欠けた部分を保護することも大切です。最寄りの薬局で手に入る歯科用応急キットを使用するのが理想的ですが、なければ歯科用ワックスでも代用できます。これらがない場合は、砂糖の入っていないガムを柔らかくして当てるという方法もあります。

また、鋭い破折面で舌や頬の内側を傷つけないように注意しましょう。食事の際は欠けた歯の部分を避け、極端に熱いものや冷たいもの、固いものの摂取は控えるのが無難です。

歯科医院を受診するタイミング


歯が欠けた場合、基本的には早めに歯科医院を受診するべきです。特に以下のような症状がある場合は、緊急性が高いと考えられます。

・強い痛みがある
・出血が止まらない
・大きく欠けて尖った部分がある
・噛み合わせに影響がある
・前歯など見た目に関わる部分の破損

痛みがなくても、放置すると細菌感染のリスクや、さらなる破損につながる可能性があります。見た目に問題がないからといって油断せず、早めの受診をおすすめします。

多くの歯科医院では、こうした緊急事態に対応するための枠を設けています。電話で状況を説明すれば、当日中に診てもらえることも少なくありません。

歯科医院での検査と診断


歯科医院では、まず破損の程度を詳しく調べるために、視診や触診、レントゲン撮影などを行います。これにより、目に見える部分だけでなく、歯の内部や根の状態も確認します。

検査の結果、破損の程度や原因、歯の状態などを総合的に判断し、最適な治療法が提案されます。単なる見た目の問題なのか、機能的な問題も含むのか、神経まで影響しているかなど、様々な観点から診断が行われるのです。

患者さん自身も、普段の生活習慣や歯ぎしりの有無、過去の歯の治療歴などを正確に伝えることで、より適切な治療計画を立てることができます。

破損の程度による治療方法の違い


歯の破損は、その程度によって治療法が大きく異なります。主な治療法を破損の程度別に見ていきましょう。

軽度の欠け(エナメル質のみの破損)

歯の最表層であるエナメル質だけが欠けた場合、比較的シンプルな治療で済むことが多いです。歯科医師は専用の器具で欠けた部分を滑らかに整え、必要に応じて研磨を行います。

場合によっては、コンポジットレジン(歯科用プラスチック)を用いた修復が行われることもあります。この方法では、歯の色に合わせた樹脂を欠けた部分に盛り、紫外線で硬化させて形を整えます。一回の来院で治療が完了することが多く、費用も比較的抑えられるのが特徴です。

中程度の欠け(象牙質に達する破損)

エナメル質の下にある象牙質まで破損が及んでいる場合、より慎重な対応が必要です。象牙質は神経との距離が近いため、温度変化や刺激に敏感になっていることがあります。

このケースではまず、痛みを軽減し感染を防ぐための処置が行われます。その後、レジン充填やインレー・アンレーと呼ばれる方法で修復されることが一般的です。インレー・アンレーとは、欠けた部分の型を取り、それに合わせて作られた詰め物を装着する方法です。

金属やセラミック、ハイブリッドレジンなど、様々な素材から選ぶことができ、耐久性や見た目の要望に応じて最適なものを選定します。

重度の欠け(神経に近いまたは露出している場合)

破損が神経(歯髄)に近い、あるいは神経が露出しているような重度のケースでは、より複雑な治療が必要となります。強い痛みを伴うことが多く、緊急性も高いです。

このような場合、まず神経の処置(根管治療)が行われることがあります。神経を取り除き、根の内部を消毒・充填することで、痛みの原因を取り除きます。

その後、歯の形態を回復させるために、被せ物(クラウン)による修復が行われるのが一般的です。大きく欠けた歯を支えるために、芯となる構造物(コア)を歯に取り付け、その上からクラウンを装着します。

歯根まで破折している場合

最も深刻なケースとして、歯の根(歯根)まで破折が及んでいる場合があります。このような状態では、残念ながら歯を保存することが難しくなることもあります。

状況によっては抜歯を行い、その後、ブリッジやインプラント、入れ歯などの方法で失った歯の機能と見た目を回復させます。特にインプラント治療は、天然歯に近い機能と審美性を取り戻せる方法として注目されていますが、治療期間や費用などをよく検討する必要があります。

治療後のケアと予防


どのような治療を受けた場合でも、その後のケアは治療の成功を左右する重要な要素です。治療直後は、歯科医師の指示に従って、修復部分に負担をかけないように注意しましょう。

長期的には、以下のようなポイントに気をつけることで、再破損のリスクを減らすことができます。

まず、硬いものを噛むときは注意が必要です。特に氷や固いキャンディー、ナッツ類などは、修復した歯だけでなく健康な歯にも負担をかけます。また、鉛筆やボールペンのキャップなどを噛む癖がある方は、意識して止めるようにしましょう。

歯ぎしりや食いしばりがある場合は、ナイトガードの使用を検討するのも一つの方法です。就寝中に装着することで、無意識の力から歯を守ることができます。

スポーツをする際には、マウスガードの着用が推奨されます。特に接触の多いスポーツでは、歯の破損予防に大きな効果があります。

そして何より、日々の丁寧なブラッシングと定期的な歯科検診が基本です。小さな欠けや亀裂も早期発見できれば、大きな治療に発展する前に対処できます。

まとめ:適切な知識で冷静に対応を


歯が欠けるという事態は、誰にとっても不安なものです。しかし、このコラムで紹介した応急処置の知識があれば、慌てずに対応できるはずです。また、欠け方の程度によって治療法が異なることを理解しておくと、歯科医院での説明も理解しやすくなります。

大切なのは、早めに専門家に相談し、適切な治療を受けること。そして治療後も、再発防止のためのケアを欠かさないことです。

歯は一度失うと元には戻りません。日頃から予防を心がけ、もしものときには冷静に対応できるよう、このコラムの情報を覚えておいてください。あなたの素敵な笑顔を守るために、正しい知識と適切な対応が役立つことを願っています。

記事監修医師
西原 宗信 院長

西原 宗信 院長

赤坂ひろデンタル

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